ヨシュア記 第1,2章研究解読



第1章4節
第2章1〜7節



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2004/ 1/ 7  第2章1〜7節 UP
2000/ 6/28  第1章4節 UP




第1章4節

4節 あなたがたの領域は、荒野からレバノンに及び、また大川ユフラテからヘテびとの全地にわたり日の入る方の大海に達するであろう。


 聖書でいうパレスチナとは、一般にレバノン山系の南南西、エジプトの東北、アラビア砂漠の西方の地域を指すと考えられています。距離でいうとパレスチナは、ダンからベエルシバまで240`で、幅は一番広い所で約120`あります。神はヨシュアに、元来アブラハムに約束した領域をイスラエルに与えようとしました(創世記15章18節)。ヨシュアと共に約束の地に入ったイスラエル人は、大方忠実で従順でしたが、イスラエルは国民全体としてすぐに昔の生き方に逆戻りして、約束の地全体を勝ち得るであろうという祝福を失っています。

 約200年後のダビデとソロモンの時代にようやく契約で与えられた土地を支配することになりましたが、それも束の間でした。結果的に神に従順ではなくなったので、契約の土地は他の民族の手に落ちました。「日の入る方の大海」とは、地中海を指しています。




第2章1〜7節

1節 ヌンの子ヨシュアは、シッテムから、ひそかにふたりの斥候をつかわして彼らに言った、「行って、その地、特にエリコを探りなさい」。彼らは行って、ラハブという遊女の家に入り、そこに泊まったが、
2節 エリコの王に、「イスラエルの人々のうちの数名の者が今夜この地を探るために、はいってきました」と言う者があったので、
3節 エリコの王は人をやってラハブに言った、「あなたの所にきて、あなたの家にはいった人々をここへ出しなさい。彼らはこの国のすべてを探るためにきたのです」。
4節 しかし、女はすでにそのふたりの人を入れて彼らを隠していた。そして彼女は言った、「確かにその人々はわたしの所にきました。しかし、わたしはその人々がどこからきたのか知りませんでしたが、。
5節 たそがれ時、門の閉じるころに、その人々は出て行きました。どこへ行ったのかわたしは知りません。急いであとを追いなさい。追いつけるでしょう」。
6節 その実、彼女はすでに彼らを連れて屋根にのぼり、屋上に並べてあった亜麻の茎の中に彼らを隠していたのである。
7節 そこでその人々は彼らのあとを追ってヨルダンの道を進み、渡し場へ向かった。あとを追う者が出て行くとすぐ門は閉ざされた。


 この記述において、ラハブは 「ゾーナー」と呼ばれています。これを現在の聖書は、古代版の聖書に倣って、「遊女」と訳しています。しかしユダヤ人の著者たちは、自分たちの先祖が大事な仕事を開始するに当たって、不名誉なかかわりを持ったとは考えたくなかったので、この語をへブル語の「養う」という言葉から来た、宿屋を守る 「女主人」という意味の語を使用しました。キリスト教の注釈者もこの解釈をとる傾向が見られます。それは斥候に対して良い行いをしたラハブの性格を重視した結果でしょう。また、マタイ1章4節では、後にユダのサルモンと結婚したことから、イエスの先祖になったように見えるからです。しかし、不都合があるからといって、事実をねじまげてこじつけの解釈をすることは良くありません。


「ゾーナー」という語は 「遊女」を意味するのであって、「女主人」を意味するのではないことはヘブライ語を忠実に解釈する学者によって、広く一般的に受け入れられています。


 この語が登場する他のすべての場所で 「遊女」という意味で使用されており、「女主人」という概念は、この語によっても他の語によっても表記されていません。なぜなら、この地域においては決して女性による宿屋が運営されなかったからです。つまり、宿は存在しませんでした。ですが、川向こうから来た「よそ者」は、疑われたり目立ったりすることなく、遊女の家に寄宿する可能性があります。砂漠から来るベドウィンたちは、今日でもカイロやバグダッドに行くときは、絶えずそのようにしており、その家や宿はよそ者が近づくことのできる唯一の場所となっています。また、男性の同居人に襲われる危険もなく、求める情報を得られる貴重なところとなりました。

 言葉、存在、状況の可能性がこの問題を解決しています。ラハブの道義について気がかりが残っているとした場合、彼女の改心の最善の証拠は、後にサルモンと結婚したことにあるでしょう。これは、彼女がこの出来事に先立ってユダヤ教に改宗したことを暗示しています。斥候たちと交わした話の内容から、彼女が改宗の備えができていたという考えが導き出されます。ラハブのエホバに対する信仰が真摯なものであったことは、新約聖書において、パウロもヤコブも彼女を信仰の模範として引用していることが支持しています。(へブル11章31節)



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