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2005/12/19  序文追加、訂正
2000/ 8/25  序文追加


 ヨナは、ニネベの町に対して悔い改めを説くようにに召された預言者です。ヨナ書はヨナの生涯を記した書ですが、ヨナ自身が記したものではないと考えられています。ヨナ書の主題は、エホバ(キリスト)は全地を治める神であり、一つの国や民だけを偏愛する神ではないということです。預言していた時代はアッシリア人による捕囚が行われていた時期で、アモスと同時代か、少し前であると推測されていますが、正確なことはわかっていません。

 第1章には、神がニネベに宣教する召しをヨナに与えたことが書かれて、ヨナは神から命じられたことに従わずに船で逃げましたが大きな魚に呑み込まれています。
 第2章には、ヨナが神に祈り、魚がヨナを丘に吐き出したことが書かれています。
 第3章には、ヨナがニネベに行って滅亡を預言したことが書かれています。
 第4章には、ニネベの民が救われたことで何故か怒っているヨナに対する神が叱責しているようすが記されています。

 キリストは、ヨナが魚に呑み込まれたことは自分自身の死と復活のしるしであると言っています。(マタイ12章39〜40、16章4、ルカ11章29〜30)。




 預言者ヨナはの僕としては珍しい人物です。ヨナは他の預言者たちと同じように、罪悪を増長させている民に、悔い改めを叫ぶように神から召しを受けました。ところがヨナは、他の預言者たちと違って、自分の責任から逃げようとしてしまいました。言い訳にはならないでしょうが、その理由が臆病だとしたら、それはまだ理解できることです。なぜなら、当時のアッシリア人の残虐さはよく知られていたからです。しかし、ヨナが逃げようとした理由は別のところにありました。彼は忌まわしい敵に悔い改めの機会を与えたことで、神を恨む気持ちを抱いたようです(ヨナ書4章1〜2節)。

 全ての人にキリストの愛を持つように教えられた人にとって、ヨナの行動は不可解であるかもしれません。しかし、自分は選ばれた民で、異邦人は堕落しています。従って異邦人は神には受け入れられないと教えられてきたイスラエル人にとって、それは理解できることでした。神の召しに対するヨナの反応は、一般的な預言者のイメージとはかなり異なっています。そのため驚きを感じる人もいることでしょうが、ヨナ書を読むに当たり、何故彼がそのような行動をとろうとしたのかを考えながら読むとよいでしょう。



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