創世記 第33〜35章研究解読



第33章1〜2節 第34章1〜31節 第35章1〜6節 第35章22節



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1999/ 2/ 4  第34章1〜31節、第35章1〜6節、22節 UP
1999/ 2/ 1  第33章1〜2節 UP



第33章1〜2節

1節 さてヤコブは目をあげ、エサウが四百人を率いてくるのを見た。そこで彼は子供たちを分けてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、
2節 つかえめと子供たちをまっ先に置き、レアとその子供たちを次に置き、ラケルとヨセフを最後に置いて、


 ヤコブの陣営の組み方について、つかえめとその子供たちを一番危険な場所においているとして批判する人たちがいますが、しかし中東では、部族の指導者が自分の家族や所有物をこのような形で、すなわち最その人にとってもよいもの、最愛のものを最後において誇示することは、当然のことであったと考えられています。




第34章1〜31節

1節 レアがヤコブに産んだ娘デナはその地の女たちに会おうと出かけて行ったが、
2節 その地のつかさ、ヒビびとハモルの子シケムが彼女を見て、引き入れ、これと寝てはずかしめた。
25節 三日目になって彼らが痛みを覚えている時、ヤコブのふたりの子、すなわちシメオンとレビとは、おのおのつるぎをとって、不意に町を襲い、男子をことごとく殺し、
26節 またつるぎの刃にかけてハモルとその子シケムとを殺し、シケムの家からデナを連れ出した。
30節 そこでヤコブはシメオンとレビに言った、「あなたがたはわたしをこの地の住民、カナンびととペリジびとに忌みきらわせ、わたしに迷惑をかけた。わたしは、人数が少ないから、彼らが集まってわたしを攻め打つならば、わたしも家族も滅ぼされるであろう」。
31節 彼らは言った、「わたしたちの妹を遊女のように彼が扱ってよいのですか」。


 「引き入れ」と訳されているヘブライ語は、「連れ去る、時には暴力や強制によって所有する。捕虜にする。奪う」という意味と考えられています。シケムが「ねんごろに娘に語った」(3節)という文については、文字通りには「彼は娘の心に語りかけた」ということになり、シケムはデナの愛情を獲得しようと務め、損ねてしまった機嫌を取り結ぼうとしています。このことからもこの前の節からも、デナの側には何の同意もないことをがわかります。これは間違いなく暴行であり、デナはシケムの家で力ずくで監禁されたことを意味します。26節でシメオンとレビが町を襲撃した時に、この家でデナが発見されています。

 シメオンとレビが激怒したのも無理はありません。しかし、誓約を結ばせるという口実で町中の人をだまし討ちにして大量殺戮した行為は、明らかに間違った行動です。ヤコブが死の直前にこのふたりの息子に与えた祝福(創世記49章5〜7節)を見ても、ヤコブも神もこの行為を赦していなかったことがわかります。




第35章1〜6節

1節 ときに神はヤコブに言われた、「あなたは立ってベテルに上り、そこに住んで、あなたがさきに兄エサウの顔を避けてのがれる時、あなたに現れた神に祭壇を造りなさい」。
2節 ヤコブは、その家族および共にいるすべての者に言った、「あなたがたのうちある異なる神々を捨て、身を清めて着物を着替えなさい。
3節 われわれは立ってベテルに上り、その所でわたしの苦難の日にわたしにこたえ、かつわたしの行く道で共におられた神に祭壇を造ろう」。
4節 そこで彼らは持っている異なる神々と、耳につけている耳輪をことごとくヤコブに与えたので、ヤコブはこれをシケムのほとりにあるテレビンの木の下に埋めた。
5節 そして彼らは、いで立ったが、大いなる恐れが周囲の町々に起こったので、ヤコブの子らのあとを負う者はなかった。
6節 こうしてヤコブは共にいたすべての人々と一緒にカナンの地にあるルズ、すなわちベテルにきた。


 ベテルに戻る前は、このベテルは現代の神殿と同じ価値を持つものであったため、ヤコブは家族とはしためを初め一族全員にそこでの体験に備えての準備をさせています。これは現代の聖徒が準備をして神殿に行くのと同じような事でした。耳輪というのはおそらく単なる装身具ではなく、偽りの神々の像を刻み込んだお守りのような物と考えられています。




第35章22節

22節 イスラエルがその地に住んでいた時、ルベンは父のそばめビルハのところへ行って、これと寝た。イスラエルはこれを聞いた。


 歴史的な記述の中にルベンの不貞の記録が短く入っているひとは、少々奇異な感じを与えますが、この記録からルベンがレアの長子でありながら何故生得権を失ったのか、その理由がわかります。このようにして、ラケルが2番目の妻であったため、ラケルの長子がその失われた祝福を正当に継承する権利を持つことになりました。それでヨセフが、11番目に生まれた息子でありながら、法的な継承権は2番目ということになり、生得権を得ています。

 コリント人への第一の手紙5章1〜3節では、特にルベンが罪を犯したために生得権を失ったことに結びつけて、ヨセフがそれを受け継いだ次第を説明しています。はしためのビルハとジルパの長子は、考慮の対象とはなりませんでした。それは、はしためは女主人の所有物であり、その子供も法的にはラケルとレアの所有物と見なされていたからです。



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