申命記 第25〜30章研究解読 |
第25章5〜10節 |
第28章 |
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2006/ 9/16 | 第25章5〜10節 UP | |
2005/ 5/24 | 第28章 UP |
第25章5〜10節 |
5節 | 兄弟が一緒に住んでいて、そのうちのひとりが死んで子のない時は、その死んだ者の妻は出て、他人にとついではならない。その夫の兄弟が彼女の所にはいり、めとって妻とし、夫の兄弟としての道を彼女につくさなければならない |
6節 | そして、その女が、初めに産む男の子に、死んだ兄弟の名を継がせ、その名をイスラエルのうちに絶やさないようにしなければならない。 |
7節 | しかしその人が兄弟の妻をめとるのを好まなければ、その兄弟の妻は町の門へ行って、長老たちに言わなければならない、『わたしの夫の兄弟はその兄弟の名をイスラエルのうちに残すのを拒んで、夫の兄弟としての道をつくすことを好みません』。 |
8節 | そのとき町の長老たちは彼を呼び寄せて、さとさなければならない。もし彼が固執して、『わたしは彼女をめとることを好みません』と言うならば、 |
9節 | その兄弟の妻は長老たちの目の前で、彼のそばに行き、その足のくつを脱がせ、その顔につばきして、答えて言わなければらない。『兄弟の家をたてない者には、このようにすべきです』。 |
10節 | そして彼の家の名は、くつを脱がされた者の家と、イスラエルのうちで呼ばれるであろう。 |
この部分は、イスラエルの部族の男が死んだ場合、その人の兄弟が未亡人と結婚して、死者に子孫を残さなければならないという「逆縁」のおきてを定義しています。この習わしは、生活の糧も友もなく置き去られることになる未亡人に、安全を保障する目的として設定されたものと考えられました。兄弟がいない場合はさらに遠縁の男性の親戚がこの義務を果たすように求められています。この未亡人と結婚した身内は、誰であっても彼女の「ゴーエール」とヘブライ語で表記される、身請け人または保護者となりました。それらは「あがない人」という意味を持ちます。この新しい結婚によって最初に生まれた子供は、死んだ夫の子供と見なされ、その遺産を相続する権利を有します。(ルツ記第3章1〜2節) 復活すればそのような女は誰の妻になるのかとイエスに質問したサドカイ人は、この規定を知っており、わなにかけようとしましたが失敗に終わりました。(マタイ22章23〜33節) |
第28章 |
申命記のこの章は、イスラエルが従順であるときに彼らに及ぶ祝福と(1〜14節)、神から離れ去るときに被る罰(15〜68節)について神が具体的に説明している部分で、レビ記第26章によく似ているところです。この28章に出てくる恐ろしげな預言は、敵の攻撃があまりにもひどいので、人が人を食べることになるだろうというものです(49〜57節)。バビロニアの王ネブカデネザルにエルサレムが陥落されたときにこの状態となり、何日もの包囲による兵糧攻めで水も食糧もなくなり、実際に人を食べたことが哀歌4章1〜10節に記されています。 しかしキリストの死後、紀元70年のローマによるエルサレム包囲のとき、この預言は特に明瞭に成就したと言われています。その預言内容にはローマの特徴が多く見られていることからも、この預言はこの時代に向けられたものであることが分かります。 |
主は遠いところから、地のはてから一つの民を(49節) |
イスラエルからみてローマは3000km以上離れた遠い国である。 |
はげたかが飛びかけるように(49節) |
はげたかとはローマの象徴であり、ローマ軍の軍旗に描かれていた。 |
顔の恐ろしい民であって、彼らは老人の身を顧みず、幼い者をもあわれまず(50節) |
戦闘におけるローマの獰猛さと、労働のできない老人や幼な子は捕虜とせず殺して処分するほどである。 |
町を攻め囲む(50節) |
チトスは、エルサレムの周りを全部包囲する壁を作り、だれも逃げられないようにした。 (フラビウス・ヨセフス戦記第5巻、第12章) |
あなたの神、主が賜わったあなたの身から生まれた者、むすこ、娘の肉を食べるに至るであろう。(53節) |
包囲から逃げ出すこともできず、エルサレムの住民はすぐに食物を必死に求めるようになり、あるゆる物を食べようとした。それさえもなくなると、愛するわが子の肉でさえ食べた。 (フラビウス・ヨセフス戦記第5巻・第10章段落1〜5、第13章段落7、第6巻・第3章、段落2) |
またあなたがたのうちのやさしい、柔和な女、すなわち柔和で、やさしく、足の裏を土につけようともしない者でも、自分のふところの夫や、むすこ、娘にもかくして、自分の足の間から出る後産や、自分の産む子をひそかに食べるであろう(56〜57節)。 |
ヨセフスは、ペレア出身の上流階級の婦人がローマに包囲されてる間に、自分の息子を殺して食べた様子を記している。 (フラビウス・ヨセフス戦記第6巻・第3章、段落4〜5) |
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