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 旧約聖書のモーセの5書の内の4番目の書です。
民数記はシナイ山からカナンの国境にある、モアブの平地に至るまでのイスラエル人の旅の物語を描いています。この書の重要な教訓の一つは、の民が成功の道を歩み続けるには、神の約束を信頼し信仰によって歩まなければならないというものです。民数記には、イスラエル人の不従順さに対して下された神の罰と、イスラエルの律法に関する事柄が記録されています。

 民数記という書名は、氏族の数の調査に由来しています。

 第1〜10章には、イスラエル人のシナイを出発する準備の様子の記録です。
 第11〜14章には、旅そのものの事やカナンの地への斥候の派遣、イスラエル人が約束の地に入るのを拒まれたことが記録されています。
 第15〜19章には、様々な律法と歴史上の出来事が記されています。
 第20〜36章には、荒れ野で過ごした最期の年の出来事の記録です。

 民数記という書名は、ウルガタ聖書のNumeri(数)という語からきており、これは最初の3章にある人口調査のことを表わしたもので、全般的な内容を表わしたものではありません。厳密に言うと、民数記というのはトーラー、すなわちモーセの5書のこの部分のみを指していて、キリスト教徒の使う名称です。ヘブライ人は通常、本文の最初の語をとって聖書の各書の書名としています。そのためユダヤ人は、この書を最初のヘブライ語をとって、Vayedebber(そして主は言われた)と呼ぶか、それとも一般的に1節の5番目の語をとってBemidber(荒野において)と呼んだりしています。

 モーセの働きを記録した民数記には、イスラエルの子らがシナイ山からヨルダン川の東にあって約束の地を見下ろすピスガ山に至るまで移動した過程が記されています。その中には、イスラエルの人口調査の記録、幕屋を移動させるためにレビ族が行った準備の記録、イスラエルがなぜ40年間ものろわれて放浪したのかの理由、出エジプトの時の20歳以上であった人々が死んだ後のイスラエルの2回目の人口調査の記録、イスラエルを導くためにヨシュアを選んだこと、そして種々の部族が受け継いだ土地の一部の紹介などが含まれています。

 民数記には、教義的な教えはそれほど多くはありません。しかし、ヤコブの家の物語のうち、主要な歴史的事件を理解するために必要な情報は盛りこまれています。こうした歴史的事件の中に教義的な意味の含まれている部分もありますが、イスラエルの民に約束された報いを理解する備えができるまで、どのように大きな出来事を経験して準備をしていったかという点に重要な意味があります。



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