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2000/ 5/26  序文追加


 ミカはユダの平地のモレセテ・ガレ出身の人物で、ヒゼキヤ王の時代のときの預言者です。ミカ書はメシヤ(キリスト)が生まれる場所としてベツレヘムの名を挙げた旧約聖書の中でただ一つの書です(5章2)。神はこの書の中で自分の民に勧告を与えるとともに、過去に与えた数々の慈しみを列挙して、彼らに正義と憐れみと謙遜さを求めています。全章にわたり、サマリヤエルサレムについて人々の罪の警告と預言をしています。



 ヨエルアモスホセアは、同時代もしくはそれに近い予言者たちです。ミカもまた同じ時代に、イスラエルユダに警告するために神に召された預言者です。真鍮版の預言者が書いているように、イスラエルの家は「その亡びることを主の予言者たちに予言されずに」滅びたことはありませんでした。この時期のイスラエルの歴史は、この言葉をそのまま成就しています。これらの予言者が教えたことは、大方の予想通りいくつかの共通点がありますが、違っている点もあります。シドニー・B・スペリーはこのように説明しています。


 「ミカはイザヤ、ホセア、アモスらと同時代であり、直面した問題もほとんど同じであった。それについてのもっと詳しい説明は、ここで述べるよりも特にホセア書から知ることができる。ミカはイザヤのような政治家ではなかった。したがって、国の政治的な罪に対してそれほどの関心を向けていない。この予言者はむしろアモスに近く、その憤りも社会的な性格を帯びていた。ミカは、貴族たちが小地主たちを追い立てて、所有地を広げていこうとする動きを特に憂慮していた。堕落した裁判官たちは、強欲な友人が弱い者から搾取するのに手を貸していた。

 自分の身を守るすべを知らない未亡人や孤児たちは力ずくで財産を奪われ、ときには奴隷として売り飛ばされることもあった。一般大衆は高い税金に締めつけられ、債鬼たちは獲物に対して容赦するということがなかった。
 ミカは、人々の間に見られる道徳的、社会的な恐るべき退廃の責任が貴族にあると考え、彼らを人の肉を食べ、骨をそいで鍋に入れる人食い人種にたとえた。その貧欲と強欲はとどまるところを知らず、法廷の裁決も賄賂を多く支払った者に傾くといった有様であった。」


 現在も、社会や個人の堕落と強欲はどこにでも見られます。ミカ書を読む人は、2500年以上も前の人の書き物を学びながら、その教えが実に新鮮であることに気がつくでしょう。



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