レビ記 第12〜15章研究解読



第13章1〜2節



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2004/ 2/24  第13章1〜2節 UP



第13章1〜2節

1節 主はまたモーセアロンに言われた、
2節 「人がその身の皮に腫、あるいは光る所ができ、これがその身の皮にらい病の患部のようになるならば、その人を祭司アロンまたは、祭司なるアロンの子たちのひとりのもとに、連れて行かなければならない。


 ヘブライ語の「tzarah」が訳されて、「らい病」あるいは「らい病人」という語になりましたが、これは「強打する、打つ」という意味です。らい病人というのは、神から強打された、あるいはむち打たれたものと考えられていました。当然ながらこれにはほんとうのらい病(ハンセン氏病)も含まれますが、当時らい病というものはかなり広い範囲の病気を指していたとされており、さらには、かびや乾燥腐敗といった物質の腐食すら含んでいたようです。共通する特徴は、腐敗と腐食にあるものと考えられ、そのために、らい病は罪や罪ある人の象徴となりました。昔のらい病は、非常に悲惨な病気で社会から完全に隔離する必要があって、それは社会からの完全な断絶を意味しています。

 らい病の徴候があったときには、その人は喪に服しているときと同様の行動をとらされました。衣服を裂き、髪の毛に手を入れず、ひげを覆わなければなりません。そして、通常の人間社会からは隔離する必要がありました。一般的にらい病という名称の病気には、2つの症状があります。1つは「結核型」、もう1つは「無痛覚型」と言われるものです。結核型の症状は、最初に赤らんだ部分ができて、後にその部分が黒ずんで結核型結節ができます。症状が進むにつれ、顔や手足に腫れや湾曲が起こってしまいます。無痛覚型のらい病の症状は、第1段階で太い神経、特に四肢の先端の神経を冒します。神経は麻痺を始め、最終的には神経そのものが死んでしまいます。

 レビ記のこの章の中で、様々な型のらい病をことごとく説明しようとしているのかどうかという疑問が湧いてきます。これに対しては正確な答えはありませんが、現代の医師であるなら、ここに列挙されている徴候からはらい病と診断することはないでしょう。恐らくは数多くの皮膚病が、それほど重病ではないものも含めて、「らい病」と呼ばれていたと考えることができます。一方ここでは、祭司が注意しておかなければならないごく初期の症状についてのみ、列挙されていると説明する人もいます。現代におけるらい病は、聖書時代からパレスチナ地方にほぼ確実に知れ渡っていて、明らかに、この病気の患者は「汚れている」と考えられていたため、他の皮膚病も、同じ病名で含まれてはいるものの、ここでらい病全般について説明しておく必要があったと考える人もいます。

 古代の祭司たちは、健全とも言える科学的な判断力を用いて、感染の恐れのある慢性皮膚疾患を持つ病人の隔離決定を下していました。接触感染を防ぐためには、隔離が最善の方法であったからです。さらにまた、患者が後に回復した場合、または比較的軽い回復可能の皮膚病だった場合には、治ったと祭司に宣言してもらって、適切なときに家族や友人のもとへ帰ることができたことも明らかとなっています。



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