イザヤ書 第20〜23章研究解読



第20章1節 第21章1〜7節
第22章8節
第23章 第23章1節 第23章2〜3節



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第20章1節

1節 アッシリアの王サルゴンからつかわされた最高司令官がアシドドに来て、これを攻め、これを取った年、――


 この最高司令官名はタルタンといって、王の給仕役ですが個人名ではなく「役職名」となっています(列王下第18章17節)。給仕役は王を毒殺などの暗殺から守る重要な役なので、タルタンはサルゴン王の最も信任篤い僕となっていました。王の息子セナケリブエルサレム攻略の際に司令官に就任したと考えられています。アシドドとはユダの王ウジヤの時代に攻め取った町です(歴代下26章6節)。歴代志下30章6節に「アッシリアの王たちからのがれた残りのあなたがたに」とあり、この時期にはアッシリアによるユダへの攻撃があったと考えることができるので、司令官タルタンがアシドドを攻め取ったのは、ヒゼキヤ王の時代となります。




第21章1〜7節

11節 ドマについての託宣。セイルからわたしに呼ばわる者がある。「夜回りよ、今は夜のなんどきですか、夜回りよ、今は夜のなんどきですか。」
13節 アラビヤについての託宣。デダンびとの隊商よ、あなたがたはアラビヤの林にやどる。
14節 テマの地に住む民よ、水を携えて、かわいた者を迎え、パンをもって、逃げのがれた者を迎えよ。
16節 手はわたしにこう言われた、「雇い人の年期のように一年以内にケダルのすべての栄華はつきはてる。


 イザヤは、イスラエルに隣接するおもな姉妹都市がことごとく滅びることを、終わりの日に邪悪な者とその組織に下されるはずの裁きの象徴として用いましたが、ここでもほぼ挿入句的に、東方の小国家も滅びると宣言しています。ドマというのは、アラビア砂漠北部の中心にあり、デダンびととは、紅海周辺のアカバ湾南東にあるデダンの地の住民であると考えられています。ケダルはヘルモン山の東にある地域で、その中にはバシャンと呼ばれる地域も含まれています。ドマやケダルはイシマエルの子らの名前と同じであり、創世記25章16節によると村と宿営の名であることが記されているので、イシマエルの子らの名前から名付けたとも考えられます。




第22章8節

8節 ユダを守るおおいは取り除かれた。その日あなたは林の武具を仰ぎ望んだ。


 林の家は、武具などを保管、陳列するためにソロモン王シオンに建てたもので、外周を支える4列の杉の柱にちなんでこのように呼ばれていました。これは宮廷の中心に位置しています。




第23章


 周辺異教国への預言と彼らの様々な罪悪を糾弾する言葉は、この章で1つの区切りを見せています。近い将来バビロンが世界の覇権を握ることになってはいましたが、ツロは当時の世界を動かしており、また商業の中心地となっていました。それゆえ、世界の富の流通の鍵を握っていたことを考えれば、ここでが別々に警告の託宣を与えているのは的を得たものです。




第23章1節

1節 ツロについての託宣。タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、ツロは荒れすたれて、家なく、船泊まりする港もないからだ。このことはクプロの地から彼らに告げ知らせられる。


 タルシシは、現在のスペインに相当する地域の古名であると考えられています。ここは、航海貿易においてツロの姉妹都市となっており、クプロは、現在のキプロス島のことです。この当時はフェニキアが世界的な貿易の中心地でした。




第23章2〜3節

2節 海辺に住む民よ、シドンの商人よ、もだせ、あなたがたの使者は海を渡り、大いなる水の上にあった。
3節 ツロの収入はシホルの穀物、ナイル川の収穫であった。ツロはもろもろの国びとの商人であった。


 シドンはフェニキアでは古い都市であり、ツロはまだ新しい都市ですが、アッシリアの時代にはその規模がはるかに大きくなっていました。シドンはその収益をナイル川支流のエジプトの地シホルの穀物から上げており、その商人たちの名は、同国人たちからは大商人との誉を受けて、広く知れ渡っていました(イザヤ23章8節、黙示録18章23節)。



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