ユダヤ人の予言方法 神の裁きと予言の成就 イザヤの世界


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2006/ 9/11  序文 追加・改定



 イザヤの名前は「エホバは救う」または「主は救い」と言う意味で、彼の生涯と教えは、キリストの教えとキリストが備えた救いの道を示しています。使徒ヨハネは「イエスのあかしは、すなわち預言の霊である(黙示録19章10節)」と記していて、この言葉を評価基準とするとイザヤはまぎれもなく最も偉大な預言者のひとりであると言えます。それは、力強く雄弁にキリストとその業について証したからです。イザヤの預言の多くは人類の贖い主(キリスト)の来臨について述べたものでありますが、(キリスト)の地上での務めと末日における偉大な王としての来臨の両面を含んでいます。イザヤはイスラエルの将来についても多くの預言を残しています。

 ウジヤアザリヤ・BC792年頃)からヒゼキヤ(BC688年頃)の代、資料によって多少の違いはあるものの、この間約104年の内にイザヤはユダ王国について預言してきました(第1章1節)。イザヤ書は、預言者イザヤの著作を編集したものであり、おそらくは彼の著作の一部の抄録であると考えられています。第1章から39章まではイザヤの働きについて書かれてあり、40章から66章までは将来に起こる事柄に関してイザヤの受けた示現啓示が書かれています。記述の順序が必ずしも年代順ではないため、各章ごとにその歴史的な背景に合わせて入念に研究する必要があります。

 預言者イザヤは、神がその子ら(人間)にどのような業をなそうとしているのか、深く洞察していました。彼はシオンの社会、言い換えると日の栄の社会の力や原則について理解しており、自分の時代や将来にそれをどう取り入るかということにも知っていました。また、当時の人々の霊性を強化する一方で、やがてシオンの確立のために人々が召されて、それが実行される日が来る事も預言していました。イザヤ書の前半には、この偉大な出来事に関する聖句が数多く書かれています。伝説によると、イザヤはヒゼキヤの息子マナセの手によってのこぎりでふたつに裂かれて殉教したことになっています。

 第1章は、イザヤ書全体に対する序章です。
 第7章14節、9章6〜7節、11章1〜5節、53章1〜12節、61章1〜3節は救い主の使命をあらかじめ示すものです。
 第2章、11章、12章、35章には、福音が回復されたりイスラエルが集合するなど、末日の数々の出来事が記されています。
 第29章には、真鍮版の出現に関する預言があります。
 第40〜46章には、エホバ(キリスト)が異教徒の礼拝する偶像神をしのぐ本当の神であることが宣言されています。
 第47〜66章には、(キリスト)がその民の中にとどまるということの他に、イスラエルの最終的な回復とシオンの設立に伴なう様々な出来事が描かれています。



 イエス・キリストは、他のどの預言者よりもイザヤの言葉を多く引用しました。またペテロヤコブパウロによっても新約聖書に引用されています。66章から成る、合計1292節にも及ぶこの大預言書はアメリカ大陸で発見された真鍮版に414の節、これはイザヤ書全体の34%が引用され、その他にも34の節を言い換えて用いています。真鍮版の預言者たちは、限られた場所の中にイザヤ書の35%を載せるほど、この預言書を重要視していたことになります。新約においては少なくとも57回の引用が確認されました。それだけでなく、イザヤの言葉は近代から現在に至る預言者たちによっても引用や言い換え、教えとして約100箇所の部分で言及しています。この預言書について教会役員は次のように述べました。

「多くの人が考えているように、イザヤ書が最も難解な書物の一つに数えられるとするなら、同じに彼の言葉はわたしたちが精通し、熟慮すべき重要なものと考えなければならない。イザヤの預言の言葉は、すべての教会員の心に明るい光をともすものである。」

 人々がもしイザヤの述べたような所へ行きたいと考えるなら、彼のように信じ、考え、知り、教えて生活する必要があるでしょう。

 イザヤという預言者を理解するには、彼が働きかけた民の歴史的背景を知る必要があります。イスラエルのエジプト脱出から始めて、荒れ野での放浪神との契約カナン征服士師の統治とイスラエル統一王国の誕生(サムエル下5章1〜5節)、ダビデ王の黄金時代(サムエル下7〜10章)、2国への分裂に至るまでのイスラエルの全体像を把握するのも大切なことです。また、イスラエルの背教、周辺諸国の圧迫による苦しみ、それによって民が神から遠ざかったこと(行方知れずの部族バビロニアとユダ征服)なども理解する必要があるでしょう。イザヤは直接にその歴史から、数々の比喩や概念を使用しています。彼は時代の状態とそれが神の民に及ぼす影響についてしばしば語っているので、彼の書物は背景を正しくつかんで読むことが不可欠です。



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