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2000/ 9/ 1  序文追加


 ハガイは、ユダヤ人バビロニア補囚から戻った直後の紀元前520年頃、エルサレムで預言者ゼカリヤとともに活動した預言者です(エズラ記5章1節、6章14節)。ハガイはエルサレムでの神殿再建について語り、神殿が完成していなかったことで民を叱責しています。ハガイはまた、福千年の神殿と救い主の統治についても書き記しています。

 第1章で、神は神殿がまだ出来ていないのに民が自分の家を建てて住んでいることを非難しています。
 第2章には、神は神殿の基を据えた後に神殿の中で祝福や平安を与えるというハガイの預言が記録されています。



 ハガイは、バビロン補囚後のユダの復興期の最初の予言者です。この書を別にすると、彼に言及しているのはエズラ記だけとなっています。そこからは、ハガイがユダとエルサレムで仕えた、ゼカリヤと同時代の人であることがわかります。彼らの協同の働きにより、神殿再建の仕事は続行され、完成しました(エズラ記5章1節、6章14節)。ハガイの私生活については何も述べられていませんが、一般にはエルサレムの神殿の再建を許可する紀元前538年頃のペルシアクロスの勅令布告後に、バビロニアから帰国した主要グループのひとつの中にいた人物と考えられています。もしそうであれば、彼はそのとき始まった事業と、その後の、反対勢力の妨害による再建事業の中断を目にしていたはずです。

 この時代は、それぞれに任命された総督によって治められており(1章1節)、ペルシア帝国の辺境の州が、中央政府から直接の援助を得られなくなった時代です。紀元前536年に始まるユダヤ人の最初の帰還は、クロス王の勅令によって始まったものですが、政治、宗教面において地方自治を奨励する彼の解放的な政策は、6年後にその死をもって終わりを告げました。息子のカンビュセス(紀元前530〜522年)は属州に以前ほどの配慮を示しませんでした。明らかにその影響もあって、ペルシャ人に任命されたユダヤ人総督セシバザルの下でのエルサレム神殿の再建は、最初の帰還民の到着以後間もなくして、行きづまったまま続けることができなくなっています。

 これにより、サマリヤ人と土地所有者たちの反対にあってそれ以上の工事が差し止められて、中断は長引きました。そのため士気は衰え、人々は身の回りの生活の改善に気をとられていました。彼らにとって、神の家に努力や富を費やすには不適当な時代でした。予言者ハガイはこのような状況に足を踏み入れ、問題の根源を認識して悔い改めよと、民に呼び掛けました。彼は多くの予言者たちと同様に、


この世の問題は霊的な弱さの直接の結果であると言い、神の計画を優先したときから民は繁栄すると告げます


 悔い改めを呼び掛ける彼の言葉は具体的であり、神殿の再建によって、改心を示せというものでした。ハガイは、彼らの仕事の意義を教えるために、神殿が世界的な意味を持つ将来の日のことを予言しています。ハガイ書は短いですが、神殿礼拝と神への従順さの大切さを示しており、学ぶ価値のある書です。



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