聖書は全て真実か
ヘブライ語の重要問題
七十人訳聖書 エビオナイト派



新約聖書 旧約聖書 HOME





2000/ 7/22  ヘブライ語の重要問題 UP
2000/ 7/21  聖書はすべて真実か UP



聖書は全て真実か?


 キリスト教のみならずユダヤ教も、聖書は「神の直接の啓示であり、神の言葉を記録した一字一句神聖な書である」という命題を、どちらもほとんどの教会が根本前提としています。しかし、実はこの大前提がまったくの「虚構」だとすると、この二つの一神教の運命はどうなることでしょうか。イスラム教の聖典「コーラン」の正統性と真実性は、先のふたつの宗教に比べて疑われてはいません。アラーの神の啓示を得て、予言者モハメットが語った通りのアラビア語原典のまま、今日まで持続しているからでしょう。そのせいなのか、イギリスはキリスト教国であるにもかかわらず、イギリスでされた有識者のアンケート調査では、全人類史上最も大きな影響を与えた人物は、イエス・キリストではなくモハメッドであるとの結果が出たそうです。

 では聖書はどうでしょうか。実は、


聖書はパリサイ派ユダヤによって、都合に合わせて偽造されたという、説がヨーロッパに存在しています


しかも偽造されたとされる旧約聖書のヘブライ語原本の編集が完了したのは、なんとイエスの刑死の1000年後の11世紀のことでした


 このようなことでは、世界で一番古い書物と言っても説得力に欠ける、と言われれば否定はできません。この問題は、キリスト教にもユダヤ教にも無縁な人には興味のない退屈な話に聞こえるでしょう。鎌倉・室町時代初期頃まだの日本ならまだしも、戦国時代末期、「ユダヤ・キリスト教」勢力が日本侵略の明白な意図をもって日本列島に手を伸ばしてからは、軽視できるものではなくなりました。

 いわゆる聖書の日本語訳の事業はそのときに始まり、幕末には「漢訳聖書」も流入し、明治になって聖書全巻の日本語版である「明治訳聖書」の普及が始まりました。それが大正時代になると改訳されて「大正訳聖書」となり、敗戦後は各種の新訳を取り混ぜて、おそらくこれまでに日本人の間に流布した聖書は優に一億冊を超えていると言われています。日本民族の神典である「古事記」「日本書紀」などの普及とは、比べ物にならない圧倒的な数です。

 日本国内に、あまねく行き渡っているこれだけの数の聖書が、実はパリサイ派ユダヤによる意図的計画的な偽造の産物だとしたら、長い年月の間には、日本民族が知らず知らずのうちにユダヤの謀略、つまり、ユダヤ民族のみが全知全能、で選ばれた栄光の民であるという、間違った命題に洗脳されてしまわないかという懸念が生じてきます。大抵の教会の指導者は「神の言葉」ゆえに「神聖なる書」という刷り込みがなされています。それゆえに、聖書に書かれてある事は皆真実と言い切る必要があり、言い換えると、聖書に書かれてある事は皆「真実でなければならない」ということになります。

 この考え方は人を盲信に陥れるだけでなく、思考の停止をも誘発させる危険な考えと言えるでしょう。(
エレミヤ書6章8節 、ルカ11章4節52節 、第2テモテ3章16節




ヘブライ語の重要問題



 一般には、旧約聖書が古代ヘブライ語で書かれて、それが紀元前3世紀に七十人訳といわれるギリシャ語で翻訳されたものや、ラテン語、そしてずっと下って英独仏その他のヨーロッパ系の言語に訳されたと言われています。つまり、この世の創造主である唯一の神は、ヘブライ語で語ったということになります。ということはヘブライ語やヘブライ文字も、誠に恐れ多い神聖な言葉や文字ということを認めなければなりません。従って、どうしてもここでヘブライ語やヘブライ文字なるものについて、最小限の知識が必要となってきます。しかし、その前に、そもそも人類の言葉や文字の起源や、ヘブライ語との関連とは何かということを知ることも重要となってきます。

 今日の考古学、言語学、歴史学の示すところによれば、人類最古の完成された体系としての文字は、メソポタミアのシュメール文学、いわゆるくさび型文字です。このシュメール文字は「表語文字」という、表意と表音の2つの機能を併せ持つ完全な文字であり、これと同レベルの表語文字は、古代エジプト、古代インダス、そして最後に漢字となります。人類の歴史の中で、完全な文字体系を生み出しえたのは、この4つの民族しかないと言われています。そして、シュメールよりずっと文化程度の低い周辺民族は、シュメール文字から音を表わす文字、いわゆる表音文字を作っています。その最初が、アッカド文字という、アルファベッドという呼称の元となる文字であり、その次はフェニキア文字、順にギリシャ文字、ローマ文字(ラテン)となりローマの影響下で英独仏などの後発民族は、ローマ文字をそっくり使用しています。

 これらの文字には、母音と子音と半子音が含まれています。こうしたことからヘブライ文字を見ると、まず、それはフェニキア文字を借りてつくられたことから、本家のシュメール文字から4段階(シュメール→アッカド→フェニキア→ヘブライ)低落した文字です。そして何をもって「低落」としなければならないのかというと、実にヘブライの表音文字には子音しかなく、つまり母音文字がありません。子音だけの文字はかなり奇想天外な発想のものと感じている学者も多いことでしょう。母音が非常に発達している日本民族の言語体系である50音図からみると、難解な言語と言われていますが、ともあれ、旧約聖書はこの子音だけの古代ヘブライ語で表記されていました。


それゆえに、子音だけで長い文章を記録や記述することができるのだろうかという疑問が出てきます。


 ヘブライ語の入門書には、紀元7世紀頃に当時のユダヤ人文法家がセム系言語のひとつ、シリア語で使われていた母音記号をヘブライ語に導入したとされています。ヘブライ語のアレフベート(アルファベット)22文字は、すべて子音となっています。母音記号はアの長音、エの長音、イの長音など17個あります。そして、子音の下にこれらの母音記号をつけて、ようやく読み書きしうるヘブライ語ができあがります。従って、母音記号付きのヘブライ語聖書である「マソラ聖書」も7世紀以後の作ということになってしまいます。この聖書は正確には6世紀から作られ始めて11世紀に完成しています。

 つまり、旧約聖書は母音なしの子音だけという「白文」、つまり句読点や訓点がない文でしかありません。しかも、バビロン補囚を契機としてヘブライ語人口が少なくなり、事実上ヘブライ語は死語となってしまいます。ユダヤ人はアラム語、シリア語、ギリシャ語などを話すようになり、ヘブライ語を話す者はほとんどいなくなってしまいました。だとすれば、どうやって子音だけの聖書である「エスラ聖書」を読解することができるのでしょう。


このエスラ聖書のエスラの解釈自体、無数の誤りと偽造に満ちているとされています。


 例えば、申命記の一節をドイツ文字の子音に置き換えると次のようになります。

 dssddnhrrndungttfrcnntsndnltstllsnrcntndgbtdcndrgbtdnddnkndrnddnkndskndrllrlbtgfdssrrlngbt

 ドイツ語に自信のある方は是非試していただきたいですが、おそらく誰もほとんど解読はできないことでしょう。この例文は申命記第6章からのものです。このドイツ語の子音に置き換えられたものは、単なる一例であって、母音がなく文法拘束の緩いヘブライ語子音の読み方は、実に80万通りもあると言われています。つまり、


11世紀に完成されたといわれる「マソラ聖書=ヘブライ語原典」なるものは、太古のモーセの教えとは全く違うものとなっている可能性があります。


 言い換えると、イエス・キリスト出現以後、キリスト教会が全ローマに広がっていく時代のユダヤ教の律法学者ラビの自由自在な「創作」以外のなにものでもないということになってしまいます。先のドイツ語の例文を解釈しようとした人は、創世記第4章23〜24節のヘブライ語は、どうしても「私男傷若者」という意味不明のものにしか読めないと言っています。この「神聖な神の言葉」を幾多の神学者が、苦心して翻訳しますが、そこには主語も述語も動詞の受動態も能動態も指示されておらず、翻訳はほぼ不可能です。ただ自由な想像力を働かせた「創作」と言っても言い過ぎではないでしょう。古代ヘブライ語は、それほどに素朴で未発達な言語であって、当時のヘブライ人の生活実態を知れば、それは少しも不思議ではありません。



TOP 新約聖書 旧約聖書 HOME



inserted by FC2 system