エレミヤ書 第15〜19章研究解読 |
第15章1〜14節 | 第15章15〜21節 |
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第15章1〜14節 |
1節 | 主はわたしに言われた、「たといモーセとサムエルとがわたしの前に立っても、わたしの心はこの民を顧みない。彼らをわたしの前から追い出し、ここを去らせよ。 |
6節 | 主は言われる、あなたはわたしを捨てた。そしてますます退いていく。それゆえ、わたしは手を伸べてあなたを滅ぼした。わたしはあわれむことには飽きた。 |
13節 | わたしはあなたの富と宝を、ぶんどり物として他に与える。代価を受けることはできない。それはあなたのすべての罪によるので、領域内のいたる所にこのことが起る。 |
明らかに、この時代のユダはもはや神から赦されないところまで来てしまいました。神はエレミヤを通して「あわれむことに飽きた」、つまり繰り返しイスラエルに立ち直る機会を与えることに飽きた、と言っています。それは、神が何をしても甲斐はなく、これ以上引き伸ばしても無駄という、神からの滅亡宣言以外のなにものでもありません。「若者らの母(8節)」という言葉は、母なる町エルサレムか、若者または青年兵たちの母のことを示します。エレミヤ自身も、「あなたの知らない地(14節)」へ連れ去られると言われました。 |
第15章15〜21節 |
15節 | 主よ、あなたは知っておられます。わたしを覚え、わたしを顧みてください。わたしを迫害する者に、あだを返し、あなたの寛容によって、わたしを取り去らないでください。わたしがあなたのために、はずかしめを受けるのを知ってください。 |
18節 | どうしてわたしの痛みは止まらず、傷は重くて、なおらないのですか。あなたはわたしにとって、水がなくて人を欺く谷川のようになられるのですか。 |
19節 | それゆえ主はこう仰せられる、「もしあなたが帰ってくるならば、もとのようにして、わたしの前に立たせよう。もしあなたが、つまらないことを言うのをやめて、貴重なことを言うならば、わたしの口のようになる。彼らはあなたの所に帰ってくる。しかしあなたが彼らの所に帰るのではない。 |
20節 | わたしはあなたをこの民の前に、堅固な青銅の城壁にする。彼らがあなたを責めても、あなたに勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、あなたを助け、あなたを救うからであると、主は言われる。 |
21節 | わたしはあなたを悪人の手から救い、無慈悲な人の手からあがなう」。 |
15節よりエレミヤは自分の為に神に懇願を始めました。ユダはともかく彼だけは、「わたしは笑いさざめく人のつどいにすわることなく(17節)」とあるように忠実であったので、神は預言者エレミヤを元気づけています。しかし、「わたしはあなたを悪人の手から救い(21節)」とあるのに、実際にはバビロンへ連行されずにエジプトへ送られました。彼はここで数年後に死んだものと考えられています。エレミヤは自分の意志に反してエジプトに連れていかれているので、ここをもって神の性格を問われることがありますが、ここでの解釈は、神のエレミヤに対する霊的な開放、つまり彼の忠実さに対する永遠の報いの約束を意味しています。 |
第16章1〜12節 |
1節 | 主の言葉はまたわたしに望んだ。 |
2節 | 「あなたはこの所で妻を娶ってはならない。またむすこ娘を持ってはならない。 |
3節 | この所で生れるむすこ娘と、この地でひれを産む母たちと、これを生む父たちとについて主はこう言われる、 |
4節 | 彼らは死の病にかかって死に、哀悼する者もなく、埋葬する者もなく、地のおもてに、糞土のようになる。またつるぎとききんに滅ぼされて、その死体は空の鳥と地の獣の食い物となる。 |
5節 | 主はこう言われる、喪のある家に入ってはならない。また行って、それを悲しみ嘆いてはならない。わたしがこの民から平安と、いつくしみと、あわれみと取り去ったからであると、主は言われる。 |
6節 | 大いなる者も小さき者、この地に死ぬ。彼らは葬られず、また彼らのために悲しむ者もなく、自分の身を傷つける者もなく、髪をそる者もない。 |
7節 | 悲しむ者のためにパンをさいて、死者のためにこれを慰める者はなく、また父あるいは母のために慰めの杯をこれに与えて飲ませる者もない。 |
8節 | またあなたは宴会をする家にはいって、人々と共にすわって飲み食いしてはならない。 |
9節 | 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、あなたの目の前で、あなたのなおこの世にいる間に、わたしは喜びの声と楽しみの声、花婿の声とをこの所に絶やしてしまう。 |
10節 | あなたがこのすべての言葉をこの民に告げるとき、彼らがあなたに尋ねて、『主がわれわれにこの大きな災いを宣告されるのはどうしてですか。われわれにどんなわるいところがあるのですか。われわれの神、主にそむいて、われわれが犯した罪とはなんですか』と言うならば、 |
11節 | あなたは彼らに答えなければならない、『主は仰せられる、それはあなたがたの先祖がわたしを捨てて他の神々に従い、これに仕え、これを拝し、またわたしを捨て、わたしの律法を守らなかったからである。 |
12節 | あなたがたは、あなたがたの先祖よりも、いっそう悪いことをした。見よ、あなたがたおのおの自分の悪い強情な心に従い、わたしに聞き従うことはしない。 |
エレミヤの時代はユダにとって悲しい時代でした。その象徴として、神はしてはならない3つのことを預言車エレミヤに告げています。1つは、結婚も子供を持つこともしてはならないというもので、民を襲う惨禍があまりに広範囲なため、神は幼い子供たちに苦しみを味わわせたくないと思っていました。しかしこの戒めは、淫行の妻を娶れと命じられたホセアの場合と同様に(ホセア10章)、文字通りの意味ではなく、恐らく寓意的なものです。つまりエレミヤは、民が聖約に復帰することも、自分の働きから例の子供立ちである民衆を改宗させることも期待はしてはならなかったということです。 2つ目は、この惨状が自分たちに対する裁きについてですが、これらは彼らが自ら招いたものでした。従って剣や飢饉で死んだユダの人々のために嘆いてはならないことを述べています。3つ目は、宴会は祝い事のしるしであって、ともに飲み食いすることは友愛の象徴であるため、堕落したエルサレムで友と宴会や飲み食いをしてはならないと預言者に勧告しています。さらに、来るべき罰の理由だけでなく、エレミヤ自身の行動の理由も民にはっきり説明せよと命じられました。 |
第18章17〜23節 |
18節 | 彼らは言った、「さあ、計略をめぐらして、エレミヤを倒そう。祭司には立法があり、知恵ある者には計りごとがあり、預言者には言葉があって、これらのものが滅びてしまうことはない。さあ、われわれは舌をもって彼を撃とう。彼のすべての言葉に、心を留めないことにしよう」。 |
ここには、はばかることなく非難の声を上げるエレミヤに対して、民衆は謀議して罰を与えようとしたことが記されています。中東の国々には現在でも、うそをついた罰に、靴底のような丈夫な皮で罪人の口を叩くといった習慣が残る場所があると言われています。 |
第19章1〜15節 |
3節 | 言いなさい、『ユダの王たち、およびエルサレムに住む者よ、主の言葉を聞きなさい。万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしは災いをこの所に下す。おおよそ、その災いのことを聞くものの耳は両方とも鳴る。 |
4節 | 彼らがわたしを捨て、この所を汚し、この所で、自分も先祖たちもユダの王たちも知らなかった他の神々に香をたき、かつ罪のない者の血を、この所に満たしたからである。 |
5節 | また彼らはバアルのために高き所を築き、火をもって自分の子どもたちを焼き、燔祭としてバアルにささげた。これはわたしの命じたことではなく、定めたことでもなく、また思いもしなかったことである。 |
9節 | また彼らがその敵とその命を求める者とに囲まれて苦しみ悩む時、わたしは彼らに自分のむすこの肉、娘の肉を食べさせる。彼らはまた互いにその友の肉を食べるようになる』。 |
15節 | 万軍の主、イスラエル神はこう仰せられる、見よ、わたしは、この町とそのすべての村々に、わたしの言ったもろもろの災いを下す。彼らが強情で、わたしの言葉に聞き従おうとしないからである」。 |
19節のエレミヤの説教はエホヤキムの時代のものであり、陶器師の器を壊すことでユダの略奪と捕囚を表しています。70年間の捕囚期間を経てユダヤ人は捕囚から戻りましたが、しかしその後エルサレムが崩壊しローマ人によって住民が散らされて、さらに1900年以上の長い時が過ぎています。こうしてイスラエルは回復された教会によってようやく聖約に立ち返る過程に入りました。おぞましい人肉食についての預言(9節)は、ネブカデネザルのエルサレム包囲の時に成就しました(哀歌4章4〜10節)。 |
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