アブラハムの書 第1章



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まえがき 忍の聖書研究解読室




2005/ 6/22  序文追加
2002/ 8/29  修正


 このアブラハムの書なるものは、現在末日聖徒イエス・キリスト教会が所蔵している文書です。古代エジプトの町テーベ(現ルクソール)の対岸、ナイル川西岸の墓で、イタリア北西部ピードモンド出身のフランス語を話す探検家アントニオ・レボロが数体のミイラと共に何本かのパピルスの巻物を発見しました。1830年のレボロの死後、ミイラとパピルスはアメリカに送られて、1833年にレボロの甥と称するマイケル・H・チャンドラーなる人物の手に渡ります。チャンドラーは1835年に、アメリカ東部の幾つかの町でこれらを展示しました。

 チャンドラーがその年の6月末にカートランドにやってくると、かねてから古代文書を翻訳できると噂のあったジョセフ・スミス翻訳をさせてみました。教会創立者であるジョセフは、神によってこれらの文書が神聖なものであるとの啓示を受け、その啓示の中で渡された文書の中から幾つかの翻訳を神から授かります。チャンドラーは、ジョセフから受けた翻訳の幾つかを学者に見せて意味を調べてもらったところ、この翻訳を見た学者は、自分の翻訳と詳細に至るまで一致していることを確認し、チャンドラーに署名つきの証書を発行しました。

 巻物の内容に関心をもった教会側は、そのミイラと巻物を2400ドルで購入し、神から授かった翻訳機と啓示によってジョセフは本格的な翻訳に取り掛かります。その結果これらの巻物は、アブラハム及びエジプトに売られたヨセフの書を含むものであることが判明しました。翻訳を続けたジョセフと教会は1842年にアブラハムの書として初出版に成功しています。この書はアブラハムがエジプトにいた間に、アブラハム自身の手でパピルスに記した書物となっています。






1節 わたしの先祖が住んでいたカルデヤ人の地において、わたしアブラハムは、別の居住の地を得ることが必要であることを知った。
2節 また、わたしのためにさらに大いなる幸福と平安と安息があるのを知り、わたしは先祖の祝福と、私が聖任されるべきそれらの祝福をつかさどる権利とを得ようと努めた。わたしは自分自身が義に従うものであったので、また、多くの知識を持つ者となり、義に従うさらに大いなる者となることを望み、もっと多くの知識を持ち、多くの国民の先祖、平和の君となることを望み、また数々の指示を受け、神の戒めを守ることを望んだので、先祖に属する権利を持つ正当な相続人、大祭司となった。 
3節 それは先祖からわたしに授けられた。それは先祖から、時の初めから、まことに初めから、すなわち地が造られる前から現在まで伝わったものである。それは長子、すなわち最初の人、すなわちアダム、すなわち最初の先祖の権利であり、先祖たちを通してわたしに至ったものである。
4節 わたしは、子孫に関して先祖に与えられた神の定めに従って、神権に任じられることを求めた。
5節 わたしの先祖は、彼らの義と主なる彼らの神が与えられた聖なる戒めから離れて、異教徒の神々を礼拝し、わたしの言葉を聴くのをまったく拒んだ。
6節 彼らは悪を行うことをその心に留め、エルケナの神と、リブナの神と、マーマクラの神と、コラシの神と、エジプトの王パロの神にすっかり頼り切っていたからである。
7節 そこで、彼らは異教徒の犠牲にその心を向けて、これらの口の聞けない偶像に彼らの子供たちをささげ、わたしの声を聴こうとせず、エルケナの祭司の手によってわたしの命を取ろうとした。エルケナの祭司はまた、パロの祭司であった。
8節 さて当時、カルデヤの地に築かれた祭壇上でこれら異国の神々への犠牲として男女や子供をささげることが、エジプトの王パロの習わしであった。
9節 そして、祭司はエジプト人の流儀に従って、パロの神にささげ物をし、またシャグレールの神にもささげ物をした。ところで、シャグレールの神は太陽であった。
10節 パロの祭司は、オリシェムの平野の奥にあるポテパルの丘と呼ばれた丘のそばにあった祭壇上で、子供を感謝のささげ物としてささげることさえ行った
11節 さて、この祭司は、かつてこの祭壇上で三人のおとめをささげた。このおとめたちは、ハムの直系の王家の一人であるオニタの娘たちであった。このおとめたちはその節操のゆえにささげられたのである。彼女たちは木や石の神々をひれ伏して拝もうとしなかったために、この祭壇上で殺された。そして、それはエジプト人の流儀に従って行われた。
12節 さて、祭司たちはわたしに暴力を振るい、この祭壇上でそのおとめたちを殺したように、わたしも殺そうとした。この祭壇について知るために、この記録の初めにある絵図を参照してほしい。
13節 それはカルデヤ人の間で用いられたような寝台の形に倣って造られ、エルケナ、リブナ、マーマクラ、コラシの神々の前、およびエジプトの王パロの神に似た神の前に置かれていた。
14節 あなたがたがこれらの神々について理解できるように、わたしは冒頭の図形中にそれらの型を示した。このような種類の図形を、カルデヤ人はラーレーノスと呼ぶ。それは象形文字という意味である。
15節 彼らがわたしをささげて命を取るために、その手をわたしの上に振り上げたとき、見よ、わたしは主なる神に声を上げた。すると、主は耳を傾けて聴いてくださり、全能者の示現でわたしを満たしてくださった。そして、主の前の天使がわたしの傍らに立ち、直ちに縄を解いてくれた。
16節 そして、主の声がわたしに及んだ。「アブラハム、アブラハム、見よ、わたしの名はエホバである。わたしはあなたの声を聞いた。そして、あなたを救い出し、あなたの父の家から、すべての親族からあなたの知らない異国の地へ連れ出すために降って来た。
17節 これは、彼らがその心をわたしから背けて、エルケナの神と、リブナの神と、マーマクラの神と、コラシの神と、エジプトの王パロの神を礼拝したためである。そこでわたしは、彼らに報いを下し、わたしの子であるあなたアブラハムの命を取ろうとして手を振り上げた者を滅ぼすために、降ってきたのである。
18節 見よ、わたしはわたしの手によってあなたを導こう。わたしはあなたを受け入れて、わたしの名、すなわちあなたの父の神権を与えよう。わたしの力はあなたの上にあるであろう。
19節 それはノアとともにあったよに、あなたとともにあるであろう。しかし、あなたの働きによって、わたしの名はとこしえにこの世に知られるであろう。わたしはあなたの神だからである。」
20節 見よ、ポテパルの丘は、カルデヤのウルの地にあった。主はエルケナの祭壇とその地の神々の祭壇を壊し、それらを完全に破壊し、祭司を打たれたので、彼は死んだ。そして、カルデヤに、またパロの宮廷に大きな嘆きがあった。パロとは、王族の血統による王を意味する。
21節 さて、このエジプトの王は、ハムの腰から出た子孫であり、生まれはカナンびとの血統を引いた者であった。
22節 この家系からすべてのエジプト人が出て、カナン人の地がその地に残されたのである。
23節 エジプトの地は最初に一人の女によって発見された。この女はハムの娘であり、エジプタスの娘であった。エジプタスとは、カルデヤ語でエジプトを意味し、禁じられたものいう意味である。
24節 この女がその地を発見したとき、それは水の下にあったが、後に彼女はそこに息子たちを定住させた。このようにして、ハムから、その地ののろいをとどめた人種が出たのである。
25節 さて、エジプトの最初の政府は、ハムの娘であるエジプタスの長男パロによって設けられた。
26節 パロは義にかなった人であり、王国を設立して、生涯賢明かつ公正に民を治め、最初の世代、最初族長統治の時代、すなわちアダムやノアの治世に先祖たちによって設けられた制度を模倣しようと熱心に努めた。ノアは彼の先祖であり、彼に地の祝福を授けたが、神権に関しては彼をのろった。
27節 さて、パロは神権の権利を持つことのできない血統の出であったが、パロたちは、ハムを通してノアからそれを受けたとみずから主張した。そのために、わたしの父は彼らの偶像崇拝に惑わされたのである。
28節 しかし、わたしはこの後、わたし自身から創造の初めまでさかのぼって年代記を書くようにしよう。数々の記録がわたしの手に入り、わたしは現在までそれを所有しているからである。
29節 さて、エルケナの祭司が打たれて死んだ後、その地に飢饉があるであろうとカルデヤの地についてわたしに言われたことが成就した。
30節 このために、飢饉がカルデヤの全地に広がった。すると、わたしの父はその飢饉のためにひどく苦しみ、わたしの命を取ろうとわたしに対して企てた悪事を悔いた。
31節 しかし、神権の権利に関する先祖すなわち族長たちの記録を、主なるわたしの神は、わたしの手の中に残された。したがって、創造の始まりと、もろもろの遊星と、もろもろの星の知識を、それが先祖に知らされたとおりに、わたしは今日まで保持してきたのである。そこで、わたしの後に来る子孫の益のために、わたしはこれらの事柄の多くをこの記録に書くようにしよう。



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